増税論議が住民投票へ2006年03月01日 22:18

気がついてみればもう3月になってしまいました。日本では桜の開花予想なども発表されて、春本番までもう間近ですね。

サンノゼはここ数日荒れ模様の天気で、昨日は嵐でしたが、みなさんのところはいかがでしたか?新聞によるとバルコモールの工事中のクレーンが風で倒れて建物に被害があったようです。

さて今日ご紹介する記事はSan Jose Mercury News1A面、”TAX ON BALLOT"です。

サンタクララ郡が消費税を0.5%上げることを考えているんですって。これを6月の住民投票にかける手続きを進めることが郡の評議会で決まったということです。

実際に上がった場合、郡の消費税率は8.75%になります。

ちょっと調べてみるとカリフォルニア州の消費税は、6.25%の州税と1%の地域税の固定配分のほかに、それぞれの郡あるいは市で決められる地域税があって、サンタクララ郡は現在これが1%、合計で8.25%が税率でした。

なぜこれをあげる必要があるのか。

増税分の配分先の例として、病院や医療施設の整備、保険制度の拡充などがあげられているようですが、具体的な使用用途については言及されていないようです。

しかし用途の一つとして考えられているのがBARTをSan Joseまで延長させる工事の資金、ということらしいのです。

BARTの延長を含む交通機関の整備については、その用途に当てる特定目的税が2000年に承認され、0.5%の消費税増税がなされました。

しかし、その後のバブル崩壊や建設工事費の増加などで、折角の特定目的税もLight RailやBARTなどの交通機関の赤字補填や路線補修などに充てられてしまい、肝心の拡充整備にはまわらない状態になってしまったのでした。

今回議論されている0.5%の増税は、もし交通機関整備という特定目的に使用するのであれば、住民投票の三分の二の賛成が必要なのだそうですが、某調査会社の聞き取り調査によると、更なる特定目的税の増税はそれだけの賛成票を得られないという結果が出ているようです。

このため実質は特定目的税を一般税としてカモフラージュしているのではないかと、この増税議論を批判している人もいるようです。

ところでこのBARTの延長計画について、私は怒っていると先日のブログの記事で書きましたが、その理由については何も述べませんでした。

まず、こちらのサイトでいったいどんな計画が検討されているのかがわかります。

http://www.svrtc-vta.org/default.asp

BARTが、大量輸送路線として恐らく最も需要のあると考えられるサンノゼ、パロアルト、サンフランシスコ空港、サンフランシスコという路線側での延長が考えられているわけではないのは、ここにCal Trainが通っているためだと、とりあえず納得しておきましょう。

そこで反対側のサンフランシスコ - フリーモント路線が延長されているわけですが、サンノゼ空港を終点にして、サンノゼ市内を通過した上で、東側の辺鄙な場所を経由してフリーモントに連結させるというのはいったいどういう考え方なのか、と思うわけです。

この方面でまず最も需要が高いと考えられる3地点は、サンノゼ市内、サンノゼ空港、サンフランシスコであるはずであり、これらがスピーディに接続されることで電車の魅力が向上し、利用者も増えるはずだと思うわけです。

にもかかわらず寄り道したのでは、余分な時間がかかる上に工事費も高くなることは明らかであり、利用者も期待以上には望めないのではないかと考えるのです。

また、BARTがサンノゼ市内で横に横断している場所はLight Railの路線ともオーバラップしており、不用意に駅が増えているとしか考えられない。BARTの延長でLight RailやCal Trainの利用者も増えるような工夫がされているとは思えないのです。

以前にも書きましたが、San Joseの公共投資はいきあたりばったりに見える計画がいくつもあり、BARTの計画も十分な検討が本当になされたのか、疑念しか浮かびません。

BARTがSan Joseまで延長されると私としては確かに便利になりそうな気がしますが、この計画では賛成できないのです。

車の話題2題2006年03月02日 23:29

本日のサンノゼは春らしいおだやかな天気でした。でも私は仕事でずっと屋内ですから嵐だろうが穏やかだろうが全く関係ないですね。それでも外が明るくてうららかな日には、仕事なぞ適当にして海へドライブに行ったらさぞかし気持ちが晴れ晴れするだろうな、などと考えたりします。

さてドライブと言えば、日本からアメリカに来て驚くことの一つは、走っている車に日本車を多く見かけることです。

セダンタイプではホンダのアコードやトヨタのカムリ、ミニバンだとオデッセーが大人気ですね。最近ではトヨタのハイブリッドカーであるプリウスを良くみるようになりました。

日本車はアメ車などに比べると比較的値段が高いのですが、品質や信頼性、更に燃費の良さなどで高い評価を得ており、それが人気を得ているのです。

こうした評価は単なる風評ではなく、例えば消費者団体が発行している「消費者レポート(Consumer Report's)」といった雑誌で、衝突テストや車の所有者の報告などを集計して評価されているのです。

San Jose Mercury News、1C面によると、来週火曜に店頭にならぶ最新号では日本車がランキングのトップにずらりと並んでいるそうです。

セダン、SUV、トラックなど全部で10のカテゴリで、評価が最高点の推奨車が全て日本車で、アメ車もヨーロッパ車も一つも選ばれなかったのは1997年以降始めてのことだそうです。

また、雑誌が特に推薦する20台の車のうち14台が日本車、次に推薦する89台のうち54台が日本車と、消費者レポートの中では大変高い評価を得ているらしいです。

所有者からの報告では日本車と韓国車にトラブルレポートが少なく12%の割合だそうで、アメ車では18%、ヨーロッパ車では21%だったそうです。しかしこの割合は2002年から変わっておらず、雑誌の編集部長チャンピオン氏は「信頼性についてはほぼ設計上の限界にまで来ているのかも知れない」と述べています。

氏によれば、車では電子回路が最も信頼性の低い部分であるにも関わらず、それがより多く搭載されるようになってきていること、更に今以上の信頼性向上が必ずしもコスト効果に反映されないことなどが理由として考えられるのではないか、ということです。

さて品質の点で非常に高い評価を得ている日本車なのですが、一方で最も問題のある車のトップが日産系のインフィニティー QX56だそうで、2年連続で最低評価になってしまったそうです。日産にはがんばって欲しいですね。

以上が”Clean Sweep for Japanese"「日本車が他を席巻」の記事の紹介でした。

今日はもう一つ車に関する話題があります。

同じSan Jose Mercury News 1C面の"Magazine: Hybrids don't save money"(ハイブリッド車は節約にならず:雑誌記事より)です。

上と同じ消費者レポートがハイブリッド車がどの程度節約になるかを評価してみたというのです。すると、ガソリン消費量の低減に伴う節約分に比較して車体価格差の方が大きいため、全体としては節約にはならないという評価を出していることがわかりました。

車体価格差というのは5年落ちあるいは10年落ちの評価額をも含めて検証してみたのだそうです。すると、ハイブリッド車は構造が複雑なため中古車の査定額が普通車よりずっと低くなるそうで、例えば5年後のガソリン価格がガロン4ドルになるという想定のもとで計算しても、なお割高になってしまうそうです。

これはちょっと意外な結果と言えるかも知れません。今後のハイブリッド車の市場になんらかの影響が出ることも予想されます。

消費者レポートの車特集号は約400万部が発行され、オンラインの読者も200万人がいるそうです。フォレスター調査会社によれば消費者が車を購入したりリースする際の選択に最も影響のある雑誌なのだそうです。

消費者レポートの車特集号は毎年4月号として発行されますが、そのほかにも家電製品やコンピュータ、家具などの評価比較などを載せた号もあり、我が家もずいぶんと参考にさせていただいています。

人の出入りの激しいカリフォルニア2006年03月03日 23:29

うららかな春には海にドライブにでも、なんて話をしていたら急に寒くなってしまい、サンノゼ郊外の山にはまた雪が積もったりなぞしました。

皆様はいかがお過ごしですか?風邪などお召しになっていませんか?

我が家は長男君がちょっとばかり熱を出して、寝込んでおります。今日は金曜日ですが、学校の先生の研修日でお休みだったので、ちょうどよかったといえばまあそうなのですが。

今日3月3日はひな祭りでしたね。皆様は特別なことはありましたか?我が家はお人形を出して、雛あられも出して、だけど長男君がベットの上なので特別なことは何も無く、普段の日と変わらず過ぎてしまいました。

さて、ご紹介する記事はひな祭りとは何の関係も無い、カリフォルニアの人口のはなし。

カリフォルニアの財務省に相当する”Department of Finance"が毎年行っている統計調査から、2005年は1998年以来カリフォルニア州に入ってくる人より出て行く人の方が多かったこと、カリフォルニア州の中で最も人口の多い郡はサンノゼ市のあるサンタクララ郡だったこと、サンタクララ郡ではやはり2005年中に出て行った人が入ってきた人より多かったものの、その差は2004年の統計より相当数小さくなっている、ということがわかった。

サンタクララ郡の統計でみると、2004年の人口が約174万人で、2005年が176万人と増加しているのだが、その多くは新生児で、転出者と転入者の数で見るとマイナス648人だったそうです。しかし2004年がマイナス6700人であることと比較すれば、人口流出が止まり始めているといえるのかも知れません。

ここ数年、経済状況が悪かったことで雇用状況が悪かったこと、それにも関わらず住宅価格が極めて高いということで人口流出が顕著だったのですが、シリコンバレーの経済状況が、ゆっくりではなるけれど好転しており、雇用状況も順調なことがその要因であろうと、アナリストたちは分析しているようです。

この記事はSan Jose Mercury News1B面、”Ins and outs of resless California”を元にしました。

ちなみにカリフォルニア財務省の人口動向調査は、転居届けのほか運転免許証の登録などを元に統計をとったそうです。省庁が違うとデータがつながっていないのではないかと思われるほど運用の適当さが垣間見えるアメリカにあって、結構綿密な調査がなされているのだなあと感心しました。税金取立てに関係しているせいかな?