11歳の生徒には大学は挑戦だ ― 2007年01月02日 18:01
アメリカのお正月は一部の年越しイベントを除けば、淡々と過ぎていくものなのだけれど、2日ともなればもう仕事が始まっていたりするわけだ。
今年はフォード前大統領の葬儀ということで官公庁は急遽お休みになったようだが、サンノゼの学校は2日から早速始まった。子供たちは長い休みの間、猛烈遊びまくり夜更かしのしまくりだったのでちゃんと朝が起きれるか心配だったので、前の日に散々念を押していたのがよかったのか、いつもより早く起床してちょっと余裕の休み明け初日でした。
これが明日以降も続くのか、かなり心配。
さて、本日付San Jose Mercury Newsの1B面では大学に通う11歳の子供のことが載せられていた。
アメリカでは飛び級とかでそうした子供がいるということはよく聞くわけですが、記事ではどんな風に大学に通うようになったのか、大学ではどんな生活をしているのかがレポートされていて興味深い。
かいつまんで書くと、この子、テレンス君は幼いうちから読み書きがすらすらとできていて、小学校に上がるころには授業レベルが簡単すぎると思っていたそうだ。そのため周りの友達にちょっかいを出してばかりだったので、落ち着きのない「学習障害児」と思われる手前だったのだそうだ。
最初は公立の小学校に通っていたのだけれど、6歳で父親の経営する私立の学校に転校し、高校レベルの授業を受けていたのだそうだ。最初からその学校に通わなかったというのがちょっと不思議だが、これは私の感想。
9歳で高校の卒業単位を履修し終わるころになって、先生からSAT、つまり大学進学適正試験を受験することを進められたのだそうだ。最初は彼の両親も躊躇していたが、先生との話し合いを経てとりあえず受けてみるかということになったそうなのだが、なんと合格してしまったのだそうだ。
こうしてテレンス君はカリフォルニア州立大学に通うようになり、現在大学二年生になるのだそうだ。
私なぞが想像する飛び級の大学生は、何かひとつのことに秀でていて、それを極めるために他の事はなおざりになっているような、そんなイメージがあったのだけれど、テレンス君の場合必ずしもそういうことでもないようだ。
しかし、大学生活はちょっと苦労しているようで、成績は芳しいというわけではないと記事には書いている。
また、テレンス君は授業中に積極的に発言したり宿題をきちんとやっていったり、とにかくがんばっているようだけれど、その姿が他の普通の大学生の一部には目障りに写っているところもあるようだ。
こうした「飛び級」についてはいろいろ異論もあるかも知れないけれど、中学生がサッカーのプロチームで活躍したりプロゴルファーとしてがんばっているのと同じだと思えばいいんじゃないかな。子供のうちから大人の社会でがんばっていくことは並大抵の努力ではないと思うけれど、こうした経験を生かしてテレンス君が社会で活躍してくれることを祈り、応援してあげたいです。
ところでこうしてがんばって学業に励んでいる人がいる一方で、今日本では「偽装学位」あるいは「学歴汚染」がちょっとした話題になっているようですね。
アメリカでもフジTVが朝のニュース枠で、日本で放送した特集の一部を流していて、これを見て結構根の深い問題なんだということを知りました。
具体的にはGoogleとかで「学歴汚染」で検索して見ると様々なリンクが引っかかるけれど、中でも静岡大学の小島先生が詳しく調査研究をされているようだ。
「偽装学位」あるいは「学歴汚染」というのは大学卒業資格や修士号、博士号の学位をお金で取得することをいい、お金でもっともらしい学位証書を発行するような大学を名乗る機関がアメリカにはいくつも存在するのだそうだ。例えば50万円と日本語で書いた論文一本で大学の授業の履修成績証明書と卒業証書が手に入る。
もちろんそうした証明書にも「卒業資格」にも紙っぺら一枚の価値もないのだが、「卒業生」の中にはそれに疑問を持ちながらも「全く意味のない卒業資格」ということを知らされてショックを受けている人もいるそうだ。あるいはこうした紙っぺらの「博士号」を利用して詐欺商売を働いている人もいるそうだ。
更に驚いたことに、こうした「大学」で得た「博士号」を堂々と経歴にかざして、国公立大学の教授や助教授にのさばっている人もいるというのだ。「学歴詐称」もはなはだしいと言わざるを得ないが、大学側も「アメリカの大学の資格」として何のチェックもせずにいたのだとすると、それもあまりにお粗末すぎる。
こうした「学歴」や「資格」を製造する側と、それを盲目的に信奉する社会風土を指して、小島先生は「学歴汚染」と呼んでいるそうだ。
フジテレビの特集については、「学歴汚染」で検索して引っかかる小島先生のブログに詳しいレポートが載っている。ブログには「無断転載お断り」となっているのでリンクもトラックバックも張るのは控えておきます。興味のある方はご自分でお探しください。
by takablo [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
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