HP社内でプライバシー騒動2006年09月07日 23:22

ヒューレットパッカード社が日本でどのくらいの知名度を持っているのかわからないけれど、ここサンノゼではシリコンバレーを代表する会社、ザ・シリコンバレーともいえる会社だ。

その会社の大スキャンダルが今日のSan Jose Mercury News 1A面にでかでかと載っている。

かいつまんで言えば、ヒューレットパッカード社がその取締役員の通話履歴を本人に黙って入手していたとのことで検察の査察を受けることになったというのだ。

事の発端は今年の一月に、CNETニュースがすっぱ抜いたHP社の経営方針のニュース。これが取締役会での議事が外部に漏れたものとして犯人探しが始まった。つまり取締役員の誰かが外に漏らしたというわけだ。

犯人探しの任に当たったのが取締役員の一人ダンさんという人。外部の調査会社などを使いながら調査を進め、犯人と思しき人を特定した。

5月の取締役会でそのことを追求し、犯人と思しき人に役からの辞任を求めたがその人はそれを拒否した。

しかしそのとき、どのように調査したかの報告もなされたのだろう。別の役員の一人パーキンス氏が「裏切りやがったな」の一言を残して役を辞任した。というのも、調査の仕方がどうにもまずい、パーキンス氏個人の電話の通話履歴を電話会社から「だましとって」いたからだ。

個人のこうした情報を、個人の承諾なしに入手するというのは明らかにプライバシーの侵害といえるが、一方こうした個人情報を簡単に供出してしまう電話会社の方にも問題があるといえるだろう。

具体的にどのようにしたのかというと、パーキンス氏の個人の電話番号と、氏のソーシャルセキュリティー番号の下4桁を使って電話会社に問い合わせたらしい。

えっそれだけで?と思えるかもしれないが、実際にやってみた。自分のIDとパスワードはすでに電話会社のサイトに登録済みなので、IDやパスワードを忘れてしまった場合の手続きを実行してみた。すると確かに電話番号とソーシャルセキュリティ番号さえ知っていれば、忘れていたIDは教えてくれるし、パスワードをリセットして新たなものでアカウントにアクセスすることができた。簡単すぎ。

通話履歴なんてただの番号の羅列だなんて思うかも知れないけれど、でもほら知られちゃまずい番号が載っていたりすることもあるでしょ。たとえば毎日かけている愛人の電話番号とか。私は知られてまずい情報なんて何一つないけれど(潔白!)。

パーキンスさんは何か知られてまずい番号でも載っていたのかねえ、とにかく怒ってイスをけったわけだ。そしてそのことが公になり、大騒ぎになっているというのが事の次第。

ちなみに人の通話履歴を勝手に入手することに対して、直接的な法律上の違反事項というのはないそうだ。で、検察はプライバシーの侵害とコンピュータへの不正アクセスの両者での立件を視野に入れて調査を進めているそうだ。日本なら「個人情報保護違反」ということになるのかも知れないけれど、でもそれで罪に問われるのは電話会社であって、”不正に個人情報を使った”HP社やダンさんではない。ちょっとややこしいね。

電話会社の話では、HP社に限らず、第3者が個人の通話記録を勝手に入手しようとする、あるいは盗まれたケースはかなりの数あるそうだ。Webサイトを使って「不正」入手するケースが多いようだが、その多くは新たにアカウントを登録したり、既登録情報を書き換えたりすることで参照しているそうだ。その際に登録するeメールアドレスは、yahooなどの無料アカウントを使ったりするし、アクセス履歴のIPアドレスも逆探知できないようなものを使っているため、結局犯人を追い切れなかったりする、そのように電話会社は説明している。

こういう情報を入手してその後どうするつもりなのかはよくわからないが、気になる向きはときどき電話会社のWebサイトにアクセスして、自分のアカウント情報が書き換えられていないか、自分の知らない日時にアクセスされている痕跡がないかをチェックする必要があるかも知れない。

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