ハイブリッドカーの快走は激怒の元2006年03月08日 23:59

先週末はとても寒く、家の前にそびえる高さ約950mの山の山頂付近まで雪が積もっているのを見てびっくりしました。今週は日中暖かかったので、その雪も今はすっかり消えてなくなってしまいました。

陽気がよくなったら海までドライブって思うわけですが(前にもそんなことを言ったな)、ハイブリッドカーで行くのは考え物なのかも知れません。

昨日の記事になるのですが、San Jose Mercury News 3月7日の1A面、”HYBRIDS. CRUSIN' FOR A BRUISIN'? によると、ハイブリッドカーが渋滞の原因を作っているとして怒っている人がいるというのです。

ハイブリッドカーはフロントパネルに、現在の燃費が表示されるようになっているらしいのですが、走行スピードが上がると燃費がぐっと下がるため、ハイブリッドカーでの運転はスピードが抑え目の走行になるというのです。

どのくらい違うかというと、アメリカの主要道路の制限速度、毎時55マイル(時速約90Km)で走行しているときの燃費が56マイル/ガロン(約23Km/Litter)なのに対し、高速道路の制限時速、毎時65マイル(時速約104Km)では46マイル/ガロン(約19Km/Litter)、実際の高速道路での走行時速、毎時75マイル(時速約120Km)では37マイル/ガロン(約15Km/Litter)といった感じになるそうです。これはToyota Priusでの数値だそうです。

リッター15Kmという数字でも結構よい燃費だとは思うのですが、ハイブリッドカーを運転している人にとっては今どのくらい燃料を節約できているかと言うほうに目が行ってしまって、走行スピードが抑え目になるというのです。

ハイブリッドカーはカープールレーンも走ることができるので、それがまたせっかちなカリフォルニア人の心象を害しているようです。

渋滞の激しい路線などでは、複数人が同乗している車だけが走ってもよいカープールレーンというのが設けられていて、朝晩の通勤時間でも割合スムーズに走ることができます。ハイブリッドカーの場合、事前に登録しておくと運転手一人だけでもカープールレーンを走ることができるのです。

しかし、スムーズに走れるはずのところにハイブリッドカーがのろのろ走るので、通行を阻害していると怒っている人たちがいるらしいのです。

渋滞時でもカープールレーンなら流れているといっても、65マイルだの75マイルだのという猛スピードなわけではないので、これは八つ当たりというか、ハイブリッドカーが悪いわけではないのではと思うのですが、実際交通状況に関係なくハイブリッドカーが目の敵にされてしまっているところがあるようです。

サンマテオにお住まいのホワイトヘアーさんはハイブリッドカーと普通のVM車の2台を所有されているそうで、高速道路を走るときはいつも法廷速度ぎりぎりで走られているそうなのですが、VM車の時には後ろから近づいた車はそのまま追い越して行ってしまうそうなのですが、ハイブリッドカーを運転しているとわざわざ近づいてきてパッシングをしたりするそうなのです。アメリカの高速道路で法廷速度ぎりぎりで走るというのはとても遅いスピードで、交通を阻害するだけでなくかえって危なかったりすることがあるのですが、それにしてもこの反応の違いはなんでしょう。

ハイブリッドカーについては先日も、費用対効果が期待するほど得られないというレポートが消費者レポートから出されたという記事を紹介したばかりでした。

どうもここのところ逆風が吹き荒れているような感じです。

もっともハイブリッドカーは燃料の節約というより、価格の高い高級車のようなステータスで捉えられている節があるので、こんなようなことは販売活動上にはあまり関係がないのかも知れません。

学校区がジャンクフードの秘孔を突く2006年03月09日 15:22

アメリカの学校では、自分の子供が誕生日というとカップケーキをクラスに持っていってみんなに配り誕生日を祝ってもらったり、Walk-a-thonという歩け歩け大会があってソーダやクッキーを売って教材費の足しにしたり、クリスマスやバレンタインデーにチョコレートを売って学校に寄付したり、そんなことをしているのだが、サンタクララ統一学校区ではそれらができなくなるらしい。

3月9日付けSan Jose Mercury News 1A面、"District may go for junk-food jugular"によると、クッキー、チョコレート、スナックなどのジャンクフードや甘いジュース、ソーダなどを学校内で生徒たちに分け与えることを禁止することが学校区で検討されているのだそうだ。

これは偏に、子供たちの肥満対策、それに尽きる。

アメリカでは肥満問題、特に子供たちの体重過多の問題は大きな社会問題になっている。

そこでカリフォルニアでは来年度より一年間の栄養価摂取基準を策定し、肥満対策に乗り出したのだそうだ。サンタクララ統一学校区の案はこれに基づいたものらしい。

しかし、これでは学校活動やクラブ活動を進めるために必要なお金が集まらないと危惧、懸念している声が相次いでいるようだ。

たとえばサンタクララ高校では体育部のクラブ活動費の約半分はジュース、ソーダ類の販売でまかなわれているそうだ。

あるいは生徒会、PTAなどもクッキーやブラウニーなどの販売を通じてその活動費を補填するなどしている。

このため、子供たちの健康を考えた学校区の提案について理解はするものの納得はできないというのが正直な声のようだ。

これに対し提案者たちの考え方は、寄付金や収益金の懸念については理解できるけれど、子供たちの健康が第一であり、子供たちに何が健康によい食べ物なのかを明確に伝えることが必要なのだ、ということだ。

アメリカの学校では、場所によっては小学校でも、学校内に自動販売機が設置されていてジュースやスナックなどが買えるようになっていて、その収益の一部が学校に還元されるようになっているようだ。

以前は販売機でコーラなども買えたようだが、最近はほとんどの学校がソーダや甘いお菓子などの販売を止め、水、100%果汁のジュース、あるいは健康によいとされるスナックなどに入れ替えられている。

南カリフォルニアのビスタ統一学校区では5年前から自動販売機の販売品目の変更に取り組んでいて、切り替えた当初は生徒たちからも文句が噴出していたそうだが、今ではそうした声もなく、むしろ安心して買うようになり、そのおかげで学校の収益が4倍に伸びたというのだ。

何事もやって慣れてしまえばうまくいくようになるということか。

また、「よい食習慣を持ち健康な子供の多い学校は、よい成績もあげている」というレポートなども飛び出して、これは親の秘孔を突いている。

ということで、「ジャンクフード、貴様はすでに死んでいる」という話題でした(ああ、このフレーズそのものがすでに死んでいるか!?

サンノゼマーキュリーの親会社、売られる2006年03月14日 22:53

昨日のニュースになってしまったけれど、3月13日付けSan Jose Mercury Newsが報じているところでは、サンノゼマーキュリー紙の親会社であるナイトライダー社が買収されることになったそうだ。

実はこの話は昨年末からあった話で、マーキュリー紙のなかでも会社がこれからどうなるのか、社内にある不安の声を織り交ぜながら幾度も報道されてきていた。

私は3年ほど前からサンノゼマーキュリー紙を愛読しているのだけれど、ローカル色豊かな紙面づくりと親しみのある語り口調などが気に入ってこうして記事を紹介しているわけなのだけれど、大きな新聞社に買われてそういう良さが失われたりしたらいやだなと思っていた。

そうしたらなんと、この買収でいろいろ面白いことがわかった。

一つは、サンノゼマーキュリーの親会社は実は大きな会社だったということ。

ナイトライダー社はサンノゼ市内に本社ビルを構えていて、市の中心に行くとやや古めかしい黒いビルの最上階の4隅に「Knight Ridder」という大きな看板がよく目立っていて、知らない人は「あれはいったいなんだろう?」って思うのだが、実は全国に32の新聞社を所有し、総発行部数が490万部の全米第2位の新聞社なのだそうだ。

全米第一位はUSA Todayを保有するGannett社で、一時はナイトライダー社の買収を検討していたようだけれど、早い時期に降りてしまったようだ。

USA Todayはどこのホテルに泊まっても朝届けられていたりするので新聞はおなじみだけれど、読んでいて面白いと思ったことがなかったし、まあ慣れの問題なのかも知れないけれど、サンノゼマーキュリーがUSA Todayみたいになる心配はなくなったかなとほっとしたものです。

で、実際に買収することになった会社というのが2つめの面白いことなのだけれど、この会社、マクラッチ社は全米9位の新聞社ということだけれど、総発行部数は190万部にしか満たないし、売上高もサンノゼマーキュリーの半分しかない。

で、今回の買収は総額45億ドルでそのうち60%がキャッシュ、40%が株式交換ということらしいのだけれど、そうするとマクラッチ社は27億ドルものキャッシュを用意しなければならないわけで、この会社の2005年の売り上げ12億をはるかに超えている。借金をしてまかなうらしいのだけれど、債務超過になったりはなったりしないのかしらと余計な心配をしてしまう。

マクラッチ社も全米各地に12の新聞社を所有するナイトライダー社と良く似た会社だけれど、サクラメントに本社があって、まあその点でも近い会社だと言えそうだ。サンノゼにあるナイトライダーのオフィスは今後なくなってしまうかも知れないけれど、サンノゼマーキュリーの色はそのまま残ってくれるのではないかなと思っている。

それにしてもこれだけ大きかった新聞社が売られるということ、どうもインターネットなどの影響で新聞の売り上げが落ち込んできたことによる株価の低落に、株主たちが満足できず、売却という運びになったようだ。


とここまで書いて、もう今日が終わるというところで14日付のSan Jose Mercury Newsを見ると、1A面に続報が載っていて、なんとマクラッチ社はSan Jose Mercuryを売ると言っているではあーりませんか!

従業員もびっくり、のようです。

どうなることやら