アメリカの学校事情2005年09月21日 21:15

さて問題です。次の単語の意味は何でしょう?

germinate

nutritious

seedling

いや本当は意味を答えてもらえるのではなくて、これらの単語を正しく綴れますか?というのが問題です。実はこれ、家の2nd Grade(日本の小学2,3年生)の娘が学校のスペルテストでやっていた問題なんです。2nd Gradeですよ、(一応ボーナス問題だけど)。

正直に言います。すみません。私、全然わかりません。

カリフォルニアには州で制定した教科書があります。それぞれの教育区で決まった学年ごとの達成目標というのもあります。しかし実際の教育内容は学校に任されていて、学校間でカリキュラムが違うというのはよくあります。片方の学校では2桁の足し算を学習していて、もう一方の学校ではそれは一つ下の学年でとっくに終わっていて同じ学年では掛け算をやっている、などということがあったりします。上のような単語だって、恐らく普通の公立小学校では授業で出てくることはないと思います(娘の学校は公立校ですが)。

学校でカリキュラムレベルが全然違うという教育事情はアメリカ全体で同じようですが、カリフォルニア、特にサンノゼ近郊では学校間の習熟度格差が激しく、社会問題化もしています。

Bush大統領の no-child-left-behind 政策は、おのおのの学校が達成すべき成績目標AYPを設定していて、例えば 2004-2005 の英語の目標は、生徒の24.4%以上が”習熟していること”、だとのことです(この説明はMercury Newsから引用.。より詳細なAYPについての説明は http://www.isbe.state.il.us/ayp/faq.htm を参照)。

この目標は年々吊り上げられており、2013-2014年には100%を目標にしているそうです。

また、Bush大統領の政策によれば、習熟度の低い学校に行っている生徒については、より習熟度レベルの高い学校へ転校する権利が与えられます。

こうした「教育レベルを引き上げよう」という意識については正しいと思いますが、実際の施策については、ことサンノゼについてはうまく行っていないように思われます。

学校間に存在する習熟度レベルの格差は、地域の貧富の差がその要因の一つとしてあります。これは単純に親の収入の問題ということだけでなく、親の学歴や教育に対する姿勢、家庭環境なども関連しいます。しかし一方で、サンノゼの学校運用で親からの寄付金が重要な位置を占めている点も見逃せません。近年の教育予算のカットで、教材の購入から果ては事務員の給料まで、寄付金でまかなわれていたりするのです。寄付の多く集まる学校は、それによって充実した教育環境を整備できますが、それができない学校も当然あります。

そこで、年収の低い家庭が多く通っている学校には、特別枠の予算が組まれているのですが、予算割当てに対して成果が求められているのです。カリフォルニアでは従来カリフォルニア標準試験(CST)の成績などを元に前年度との相対評価を行ってきました。これにAYPという絶対評価が追加され、現場の教師へのプレッシャーがかなりきつくなっているとのことです。

サンノゼでは、教育予算削減のため、一昨年3校の小中高が閉鎖され、昨年は2校が閉鎖されました。今年も数校が閉鎖される可能性があるという話もあり、この点からも現場へのプレッシャーはいかばかりかと考えられます。

学校間の習熟度レベルの差は、地域住民の民族にも関係しています。統計を見ると標準テストの平均点と学校に通うヒスパニック(スペイン語圏民族)の割合は強い逆相関関係があります。ヒスパニック系の人では全く英語がしゃべれないという者も多く、そのため子供たちの英語の習熟度も低いケースがあるようです。標準テストなどは英語の設問しかないため、そもそも設問の意味が理解できず得点を取れないというケースもあるそうです。

これに対して、私は非常に疑問に思うのですが、サンノゼの小学校では「バイリンガルクラス」というのを設けている学校などがあって、つまり半分スペイン語、半分英語で授業を行っていたりするのです。大学入学基準を国語力(つまりは英語力)ではかる以上、子供たちの英語力を積極的に伸ばす努力をするべきで、公立学校が両方の面倒を見るのは、悪い意味でヒスパニックへの甘やかしではないかと考えます。

結局、収入に余裕のある家庭は学校の良いところへと移動し、その結果「取り残された学校」が作られてしまうようです。「取り残された学校」はまた、生徒数の減少、そして予算枠の縮小と、マイナスの要因ばかり増え、更に現場へのプレッシャにつながるという結果に陥っているようです。

サンノゼではちょうど市の中央にあった学校を一昨年閉鎖し、市の北側に周辺の数校を統合した新たな学校を開設、閉鎖した学校の生徒をそこへ移転するなどしたために、学校間格差は「南北問題」になっています。しかしこの場合は南高北低です。ここへ昨年ちょっとした事件がおきました。これはまた、機会を改めてお話しましょう。