アメリカの学校事情(つづき) ― 2005年09月22日 00:56
サンノゼの教育区には、2004年9月には28の小学校、8つの中学校、7つの高校がありました。ほとんどの学校は家から近いところに通うというのが原則ですが、中にはMagnet Schoolといって、ある特定の分野の教育に力を入れる、あるいはちょっと異なった教育方針で学校運営をするというものが数校あって、その学校には、希望すれば教育区全体から通うことができるシステムになっています。
2005年1月に、教育予算の赤字幅削減を理由に、Magnet schoolの一つであったSteinbeck Middle Schoolと、通常校であるCory Elementary, Randol Elementaryの合計3校が6月末をもって閉鎖されることが、正式に発表されました。
カリフォルニア州は財政難から、教育予算が削減されています。シュワルツネッガ知事は教育予算の大幅な削減は行わないことを公約していたのですが、全体のパイが小さくなっているため、徐々に削られてきています。これは仕方のないことかも知れません。
サンノゼ教育区で言うと、2004年度の会計報告では約1.2ミリオンの赤字計上でしたが、このままでは2005年度には9から11ミリオン、2006年度には11から13ミリオンの赤字を排出してしまうと報告されていました(ここで年度というのはその年の9月から翌年8月までの学校年度を指します)。
一方、生徒数の方は2000年の約33000人をピークに減少傾向にあって、2004年は約31500人が学校に通っていたそうです。そしてこの減少傾向は続くと考えられています。そこで、赤字幅縮小のために、学校区の管理スタッフの削減、学校の閉鎖によるランニングコストの削減、教員数の削減や新規採用の停止などの措置がとられることになったのです。
ところで、学校閉鎖の通知にRandol校の親たちは非常に驚いたのでした。
昨日のblogでサンノゼ学校区の「南北問題」を述べましたが、Randol校は南側の学校に入ります。学校格差の「南北問題」の境界線は、市の中央南側を東西に横切っている高速85号あたりにあって、南側の学校には、小学校としてRandol校やそのすぐ近くにあるAllen校を含む4校、中学はSteinbeck校を含む3校、高校は2校が属しています。
この南側の地域、特に2校の高校と周辺地域はAlmaden Valleyと呼ばれ、裕福な人が多いことでも知られている地域です。学校のレベルもサンノゼの中では飛びぬけています。2005年1月に閉鎖校が正式決定されるまでは、Almaden Valley内の中学校も候補の一つとしてあがっており、地域的には人口も増えてきているし学校の成果もあがっているのにという親たちの不満がくすぶっていました。
Randol校の閉鎖決定で抗議の声が多くあがったことは言うまでもありませんが、その声は南側全体に波及したのでした。
ついに一部の親たちは、サンノゼ教育区からの独立を画策し始めたのです。
教育予算分配への不信不満、成績が目標に達していても閉鎖校の対象になってしまう不満などが南側全体に広がる形になったのです。署名運動が始められ、抗議集会が開かれました。一部1000人規模の集会もあったそうです。
独立というのは現実的には時間的に難しいことは誰もがわかっていました。署名も最終的にどれくらい集まったのかはわかりません。しかし、こうした活動の成果なのか、最終的にとられたのはRandol校の閉鎖ではなく、Randol校とAllen校をSteinbeck校のキャンパス内に統合し、Allen in Steinbeck校としてスタートするというものでした(Steinbeck校はどちらにしても閉校になりました)。更に、Allen in Steinbeck校は小中一環教育校として検討を始めることになったようです。
こうして、一連の騒ぎは一応収束を見ました。
学校をめぐっての地域と当局との同じような葛藤は、サンノゼ以外でもいくつかあったようです。今は新しい年度が始まったばかりなので全く話題に上りませんが、年度が深まり、次年度の計画が明らかになるにつれて改めて噴きあがってくるかも知れません。
by takablo [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
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