美術館の中では携帯電話の電源を入れてください2006年02月21日 23:59

何てモラルに外れた事を!って

いやいや、これはサンノゼ美術館の新しいサービスだ。

San Jose Mercury News21日付1A面、”San Jose art museum plans cell phone tours"によると、サンノゼ美術館は携帯電話を使った音声ガイドサービスというのを行っているのだそうだ。

美術館や博物館などでの音声ガイドサービスというのは普通にあった。大抵は大き目の測定器か何かを思わせるような機械にイヤホンがついていて、経路順にそれぞれのポイントでの説明が聞けるというのが一般的だ。

機械にはビデオのリモコンのようなボタンなどがついていて、それで説明の言語を選択できたりするようなものもある。話はそれるが、例えばサンフランシスコのアルカトラズ島の音声ガイドでは日本語も選択できたりする。この機械を借りるのは有料だけれど。

さてサンノゼ美術館でも同じような「測定器もどき」を使っていたらしいのだけれど、最近再生装置はiPodに変えたらしい。窓口で音声ガイドを希望すると、iPodを貸してくれるそうだ。また、この貸し出しは無料とのこと。

私は実はサンノゼ美術館に行ったことがないので、そのあたりの事情はよく知らない。

この音声ガイドについては、美術館のWebサイトからダウンロードして聞くこともできる。展示物も見ないで説明だけ聞いてもアレですが、「現在の展示」の”VISUAL POLITICS: THE ART OF ENGAGEMENT”を選択して、詳しい説明を見ると”Download the iPod Tour!”のリンクがある。興味のある方はダウンロードしてみてください。音声ガイドはMP3形式で作られているので別にiPodでなくても再生できるが、ダウンロードファイルは88.7MBと結構大きいので回線が細い方は要注意だ。

なんか話が全然本題と離れる方へ方へと進んでいくけれど、話題の本筋は、この音声ガイドを携帯電話を使ってやろうというものだ。

美術館を訪れた人が決められた番号に電話すると音声ガイドが聞けるというわけだ。

新聞記事にはその番号も書かれていたので、真夜中ではあるけれどかけて見ましたよ。そしたら「サンノゼ美術館の音声ガイドにようこそ」って言ってきて、「項目番号と#を押したら説明を聞くことができます」だそうです。項目番号はそれぞれの絵などに書かれているようで、要するに美術館で操作しないとほとんど意味がないけれど、他の音声ガイドみたいに経路順に通り一遍の説明をするのではなくて、ランダムに説明を聞くことができるシステムのようだ。

また、新聞によると説明を聞いた後最後に、留守録メッセージのような方法で感想や意見を集めることもできるようになっているそうだ。

さて、この携帯電話を使った音声ガイド、美術館では全米初めてということだそうだが、ロサンゼルスの近代美術館やコネチカット州グリニッチ市のブルース美術館などでも携帯電話音声ガイドがサンノゼに引き続きスタートしており、また美術館以外ではメリーランド州のセントメリー市の史跡ガイドにも採用されているようだ。

この携帯電話音声ガイドシステムは、美術館独自のものではなく、実はベンチャー会社が開発したものらしい。記事では今のところ全米に2社がサービスを提供しているということだが、サンノゼ美術館のものはそのうちの一つGuide by Cellというところが提供しているようだ。このベンチャー企業はサンフランシスコに会社があるようだ。どんな会社か名前でググッてみたが、残念ながらヒットしない。よほど無名なのか、Webサイトが存在しないのか(いまどきそんなことがあるのかという気もするが)。

気をとりなおして、

会社の代表、アッシュハイム氏によると、美術館の方で原稿を作るか、それを読み上げたテープを持ってきてもらえば、1時間程度で携帯音声ガイドが完成するのだそうだ。その簡単にできてしまうというところがこのシステムの強みだとか。しかも携帯電話は今やほとんどのアメリカ人が持っていて、お年寄りでも簡単に操作できる。それもまた強みだ。

既に75の機関が試験運用を計画しており、需要は今後とも伸びるはずだ。

となかなかの怪気炎ぶりだ。

確かにこれはなかなか面白いサービスかも知れない。特にインタラクティブに説明が聞けるというのは、結構いいかも知れない。

ちなみにサンノゼ美術館の音声ガイドは、今は英語しかないけれど来月から始まる特別展ではスペイン語バージョンもできるそうだ。

そのうち日本語バージョンもできるといいね。