死刑が迫る中政治が動く2005年11月30日 21:37

本日付San Jose Mercury News 1A面、"AS DEATH LOOMS, POLITICS IN PLAY"から

まず始めにお詫びを。

blogの中で「11月8日はカリフォルニア州知事選」と書いたが、ご存知の通りこれは大間違い。どこでどう見当違いをしたのかわからないが、この日はいくつかの議案に対する住民投票だけで、ご存知のように提案全部が否決されてしまった。住民投票は事実上シュワルツネッガ知事の信任投票でもあったわけで、また来年ある改選の前哨戦でもあったため、「提案全部が否決」という結果は知事に相当なダメージを与えたようだ。

そこで本記事。内容を大まかに言うと、ある死刑囚の刑の実行が12月13日に迫っている。シュワルツネッガ知事は12月8日に私的なヒアリングを行い死刑囚の減刑措置について検討をすることにしたというものだ。

知事が刑の恩赦を実行した場合、不信任のダメージを受けた知事としてはよりリベラルなイメージに変えていかなければならない立場として一つのきっかけになるものと思われる。しかしカリフォルニア住民の3分の2が刑としての死刑を支持しており、また法律の厳格な遵守の観点からも恩赦の発令は難しいという見方が強い、ということだ。

こうした話題が出てくるのも、この死刑囚が普通の極悪人ではないからだ。

死刑囚の名前はStanley "Tookie" Williams。若いころにギャング団を結成し暴れていたらしい。そして1979年にコンビニ店の店員とモーテルのオーナー家族の合わせて4人を殺害した罪に問われ81年に死刑を宣告された。

彼は刑務所で生活する中で改悛したのか、96年以降子供たちにギャングの暴力的行為の悪を問いかける本を出版し始めたらしい。その活動が認められ、2000年にはなんと、ノーベル平和賞受賞者にノミネートまでされたのだそうだ。

こうなると確かに普通の囚人ではない。

しかしWilliamsはその後、裁判所に死刑の恩赦を申請したが、今年の10月に最終的に棄却されている。

ということで知事が恩赦を発令するとすれば、これは完全に超法規的措置ということになる。

アメリカでは死刑執行の決断は州知事にあるようで、執行前に恩赦されたという事例は無かったわけではないようだが、カリフォルニアでは1967年、あのロナルド レーガンが州知事だった時代までさかのぼらなければならないようだ。

刑としての死刑については人道的観点から廃止すべきという議論がアメリカでもあって、一般的に民主党が強い州では廃止派が多いと聞き及んでいるが、前述のとおりカリフォルニアでは支持政党に関係なく多くの人が死刑を支持している。

こうした中でいまやただの極悪人ではなくなったWilliams氏の運命は注目に値するかもしれない。

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