投資家たちは経済成長のために国境の開放を期待2006年11月15日 15:26

さて、クイズです。

Googleの創業者の一人、セルゲイ ブリン

Yahooの創業者の一人、ジェリー ヤン

YouTubeの創業者の一人、スティーブ チェン

eBayの創業者の一人、ピエール オミダイヤ

かれらに共通するものはなんでしょうか?

こたえ

みなアメリカ国外で生まれた移民なのだ。

本日付San Jose Mercury News 1C面の記事によると、不法移民を厳しく取り締まろうとする共和党政権に対し、先週民主党が大勝したことで、投資業界では移民をより受け入れる方向に転換できないかと考えているそうだ。

投資業界は、移民の入国を厳しくした場合ハイテク業界の発展を妨げ、ひいては経済に悪影響を及ぼすと警告している。

全国投資家組合が今日公開したデータによると、投資家が援助しているベンチャーのうち実に47%が創業者に移民を含んでいるのだそうだ。また過去15年の間に移民が創業し上場した会社は、上場企業の25%にも上るのだそうだ。

データはトムソン財務データベースの1970以降のデータを使い、現在なお活動を続けている会社を抽出し、創業者の出生地を調べたのだそうだ。

発表されたデータによれば、移民が設立した会社が最も多く分布するのは圧倒的にカリフォルニア州で、全体の60%を超えている。次が14%のマサチューセッツ州、そしてニュージャージ州が6%と続く。

また出生地別でみると、やはりというかインドが32%と最も多く、2位はちょっと意外なのだが17%でイスラエル。3位が台湾の16%となっている。日本は載っていない。

それにしても、アメリカの産業や経済がいかに移民に頼っているか、それが明らかにされたデータだといえる。もっとも、ベンチャー企業の創業者に限らず、ベンチャーで働いてみるとまわりじゅう移民ばかりなわけで、そうしたことはベンチャーの中にいると肌で感じる。

ベンチャーとしては優秀な人材を集めることが会社の生き残りにつながることであるし、また給料が安く待遇が多少悪くてもできるだけ長く会社に貢献してくれる人材を求めており、それがビザをサポートして海外から呼び入れてでもという意識になっているようだ。

しかし一方で、それがアメリカ人の就労機会を奪っているとしてブッシュ共和党政権下で移民の受け入れが厳しくなっている。例えばH1Bビザの発行数は、もともと年間発行数に制限があるものなのだけれど、それをできるだけ低く抑えようとする動きがあった。記事によると、2001年から2003年の間は年に約195000のH1-Bビザが発行されたが、2004年には65000に抑えられたのだそうだ。

そこで先の投資家組合の働きかけで、「修士以上の資格を持つ高等教育を受けたものはビザの発行数の制約対象からはずす」「H1-Bビザの発行総数を増やす」という法律が提案され下院法務委員会で諮問されようとしているそうだ。

私個人は既にビザとは関係ない世界にいるけれど、移民として入国してビザの取得での苦労を経験してきた立場で考えると、こうした法案には賛成だ。アメリカの産業や経済、技術の発展という点から考えても、この法案は重要だと思う。

しかし一方、中間選挙中にブキャナン氏がテレビのインタビューで言っていた事も考えておかなければならないだろうと思う。彼の対象はメキシコからの大量の不法移民であって、H1-B対象者とは若干異なるけれど、「あるひとつの国からの大量の移民流入は、もはや侵略だ」と強い調子で述べている。こういう思いを抱いているアメリカ人は、恐らくブキャナン氏だけではないだろう。