合衆国の犯罪率が減少、凶兆はますます回避2005年10月18日 13:50

本日付San Jose Mercury News 6A面 "Falling U.S. crime rate tempered by bad signs"から

FBIの今年の犯罪報告書によると、2004年の合衆国の犯罪率はこの4年間減少傾向にあるそうだ。ただ、1990年代の犯罪率が非常に低かった年と比較すると、まだその率にまでは届いていないそうだ。

特に凶暴な犯罪で見てみると、殺人の発生率がこの40年間で最低と成っている他、レイプ、強盗なども減少しており、凶暴な犯罪全体ではこの30年間の最低レベルとなっている。

気になるカリフォルニアだが2003年と比較した2004年の犯罪率は減少している。犯罪率は発生件数を10万人という分母で正規化した数値(つまり10万人あたり何人が犯罪に巻き込まれているかという率)であらわすようだが、2003年は580であったのに対し、2004年は552であった。やや減少だ。

ちなみに新聞では2004年の各州の犯罪率マップが載っていて、これを見ると一番犯罪率の少ないのがノースダコタ州の79、次がメイン州の104、順次バーモント州(114)、ニューハンプシャ州(167)、サウスダコタ州(172)となっている。

田舎のほうが(失礼)犯罪率は低いのかと思いきや、アラスカ州は635となっていて、カリフォルニアよりはるかに高い。人口が少ない分(統計によると、アラスカ州の人口はカリフォルニアの約5分の1だ)1件の犯罪が犯罪率に大きく左右してしまうのだろう。つまり単年度での統計だけを見て、「アラスカ州はカリフォルニアより危険な場所」と判断してはいけない。

といいながら、ランク付けの好きな日本人は「最悪犯罪率の州」トップ5が気になるわけだ。それでは発表しま~す。

新聞の地図によると、

1 ワシントンDC (1371)
2 サウスカロライナ (784)
3 フロリダ (711)
4 デラウエア (701)
5 テネシー (695)

首都はダントツのトップ!おめでとう(って、これ危なすぎ)。

[参考] 2000年の国勢調査によると、ワシントンDCの人口は572059人でこの数字を使って2004年の犯罪件数を逆算すると7843件ということになる。ちなみにカリフォルニアでは186972件と、件数だけ見ればカリフォルニアの方がはるかに多い。

妻の殺害がTV解説者に物語をもたらす2005年10月18日 19:55

本日付けSan Jose Mercury News 1A面 "Wife's killing makes TV analyst the story"

まるでサスペンス小説のネタになりそうなニュースだ。でも実際事件があったのは土曜日だったんだね。

ここ数日の過去のニュースも掘り起こしてこの興味深いニュースをサスペンス風にまとめてみよう。

[事件の発生] 10月15日 夕方6時になるところで、警察の緊急電話がなった。

「妻が殺されている」

被害者はパメラ ビターレ、52歳。バールのようなもので頭部を殴られた後があり、キャンピングトレーラの侵入口に倒れていた。

第一発見者で電話をしてきたのはダニエル ホロビッツ氏 50歳。2人は10年前に結婚している。昨年5月に殺人現場一体の土地2エーカーを購入し、邸宅を建設中であった。邸宅は完成が近づいており、その完成を待つ間二人でキャンピングカー生活をしているのだった。

[犯罪弁護士] 二人の邸宅はラファイエットヒルの上に建つ、サンフランシスコ湾を一望できる見晴らしのよい大邸宅だ。

被害者の夫ホロビッツ氏は有名な犯罪弁護士だ。TVにも出演し事件の解説もしている。例えば、あの全米中の耳目を集めたピーターソンの裁判のコメンテータとしても番組出演していたのだ。それが一転、殺人事件の関係者になってしまった。

[容疑者] 警察は事件の捜査を続ける中で、3人の容疑者の線を追いかけている。まずは夫であり第一発見者であるホロビッツ氏、そしてホロビッツ氏が被告弁護士としてついているスーザン ポラックさん、3人目はホロビッツ氏とビターレさんが土地を購入した先のジョセフ リンチ氏だ。

ホロビッツ氏の友人の証言では、氏とビターレさんは互いに愛し合っていたということだが、裁判書文書によると二人の夫婦仲には問題があったようだ。

スーザン ポラック 47歳は夫であり精神科医のフェリックス ポラック氏 70歳を刺殺した疑いで公判中だ。スーザンさんは自己防衛を主張しており、ホロビッツ氏は彼女の被告弁護を引き受けている。

また他のホロビッツ氏のクライアントについても、何らかのトラブルがなかったかどうかについて、警察は洗い出しを進めているところだ。

しかし、現在警察が最も容疑をかけているのは3番目の容疑者、ジョセフ リンチ氏だ。

[ジョセフ リンチ氏] 彼の家はホロビッツ氏の建設中の邸宅の前庭の入り口そば、ホロビッツ氏が購入した土地の中にある。ホロビッツ氏らが彼から土地を購入した際に、10年間はそのまますみ続けてよいという契約をしたため、そのまま住んでいるのだ。

2ヶ月前、リンチ氏が飲酒運転の執行猶予期間中の違反行為を行ったことに対して、2度目のチャンスを与えることを請願する書類をホロビッツ氏が作成して裁判所に送っている。そのときのホロビッツ氏の手紙によると、「我々はお互いに信頼しあっている。ジョーは心に問題を抱えているけれど、コミュニティのためにためらい無く尽くしてくれているのだ」と書いている。

この時点では二人の関係は良好であった。

しかし6月末には、ホロビッツ氏と近隣住民はリンツ氏に対し行動抑制請求を裁判所に提出している。この請求書の中で、ホロビッツ氏は次のように書いている。

「ジョーは悪魔になってしまった。心の病気と薬の中毒が暴力や揉め事を引き起こしている。しかももはや自分で自分をコントロールすることもできず、医者にかかろうともしない。」

この請求は裁判所に却下されている。

[事件のゆくえ] 警察は工事関係者にも事情を聞いているようだ。今はまだ容疑者を絞り込まず、事件当時の状況についての多くの証言を集めているところだ。