調査報告:不法移住の理由は貧窮ではなく、より良い職2005年12月07日 13:10

本日付San Jose Mercury News 1A面、"Study: Illegal migrants aren't destitute, but seek better work"より

Los AngelesからSan Diegoに向けて高速5号を走っていると、親子が互いに手をつなぎ、逃げるように走っている姿の標識が現れる。海岸を程近いところを通る場所で、どうも不法入国者が道路を横切ることがあるから注意せよということのようだ。

子連れで走る姿が哀れを誘うが、本当にそんなことがあるのかなと思っていた。ところが先日移民に関するニュースの中で、メキシコとの国境の壁を乗り越えたり、高速道路を走って横切ったりする画が写されていて、後者はまさに標識のとおり、本当にある話なんだと驚いた。

国境の壁を乗り越えたり、川を徒歩で渡ったりなどしてアメリカに不法入国するメキシカンたち、さぞかし国では窮乏生活を強いられていたのだろうなあと勝手に想像してしまうのだが、記事によるとそういうわけでもないようだ。

ワシントンにあるピュ- ヒスパニックセンターの調べによると、不法移民たちがアメリカに来た理由としてあげたもののほとんどが、よりよい給料や就労環境を求めて、ということだった。また彼らの多くは母国でも職についており、2年以上アメリカに不法に滞在するメキシコ人のうち、母国で職についていなかったものはわずか5%にすぎないことがわかった。

ピューの調査は全米各地の合計4836人のメキシカンに直接インタビューして実施したらしいが、彼らの多くは恐らくアメリカの中でも職につき生活もある程度安定しているのではないかと考えられ、その点は差し引くべきかも知れない。

実際の不法移民の母数はどのくらいかというと、記事では、不法移民の全数の推計が1100万人、そのうちメキシカンが630万人と述べている。そのうちアメリカで職に付いていると考えられるものは350万人、半数以上が何らかの収入を得ていることらしい。

こうした不法就労者の多くが英語をしゃべれなかったりするのだが、「低学歴、言葉、滞在ステータス」はメキシカンたちが職を得るうえでの問題にはなっていないと報告書は述べている。

しかしながら職を得たとしても、彼らの収入は我々の基準で考えるときわめて低く、レポートが調査した結果では週給の中央値が300ドル(つまり月給換算でいうと1200ドルに満たない)ということだ。こういうレベルでもメキシコ国内で職を求めるより条件はいいのだろうか?

でもほんの少し、私には彼らの気持ちが分かるような気もする。自分だけでなく、子供たちのことも考えて、よりよい生活を求めあるいは期待しているのではないかな?

アメリカに住んで分かるのは、近所の人たちは、オリジナリティがどの国であれ、表立って白い目を向けたり石つぶてを投げたりはしてこないということ。そして公立学校は滞在ステータスを見ることなく、学齢に達した子供たちを受け入れてくれるということだ。

そこで大人たちは、自分たちの暮らしは苦しくても、子供たちに立派な教育を受けさせてりっぱな生活が送れるようになって欲しい、そう願ってアメリカに居続けるわけだ。レポートに答えていたメキシカンたちもそういう考えを持っている人は多いのではないのかな?

私がアメリカに居続けているのも、そんなところがあるし、この地にとどまり続けている日本人たちも同じような考えを持っているのではないかな?と思うのですが、どうですかみなさん。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック